F1の世界選手権が行われるレースの中でも特に有名なのが、フランスの地中海沿岸にあるモナコで開催されるモナコGP(グランプリ)です。インディ500やル・マン24時間レースと合わせて「世界3大レース」のひとつとして知られています。毎年、多くの見物客が訪れ、盛り上がります。このレースの特徴として有名なのが、市街地がストリートサーキットに変身することです。普段は、カジノのお店や高級ブランドのお店が建ち並ぶセレブに愛される街、モンテカルロですが、レースの際には、頑丈なガードレールが設置され、街が一変します。街中ということで、幅が狭く、難コースとしても有名です。レース後も数週間かけて、ガードレールなどが撤去していきます。レースの時期になると人口3万人の街が20万人にもなると言われています。
F1のモナコGPだからこそ真の力が試される
珍しいのが、街中でレースが開催されることです。実際の公道を使ってのレースということは、コースの幅が狭くなってしまいます。一度クラッシュしてしまうと命の危険もあることから、マシンの性能に頼ることよりも、ドライバー自身の腕が試されるのがF1のモナコGPの大きな特徴です。また、コースの幅が狭いことによって、前方のマシンを抜くことが難しいということもあり、予選での結果が勝負の鍵を握ることにもなります。これだけのハイレベルな条件だからこそ、ドライバーにとってモナコGPでの優勝は憧れでもあります。そして、終了後は国王から直々にトロフィーを受け取ることになるので、表彰台はなく、上位3名のドライバーは貴賓席での表彰となります。モナコGPで勝つと「モナコ・マイスター」と呼ばれ、世界中から多くの賞賛を得ることができるのです。
F1のモナコGPならではの特徴
F1のモナコGPは、他にも他国のレースと比べて違いがいくつかあります。市街地でのレースということで、走行距離も他のGPレースと比べて短くなっています。これは、レースを作るための準備期間と撤去期間に時間を要すためで、あらかじめ決められた時間内にレースが終了するように考えられています。レースの初日も大勢の観客を来てもらえるようにと、キリストの昇天祭に合わせて調整されており、他国のレースでは金曜日に開催初日を迎えますが、モナコGPでは木曜日に初日を迎えることが伝統になっています。世界屈指の難コースということから、優勝候補がリタイアしたり、意外なドライバーが初優勝したりと番狂わせも多く、レースを見守る側も緊張と興奮が収まることのないということで毎年人気のレースなのです。